<連載読み物>
小田原 青色申告会 発行 青色NEWS WEB
青色NEWS WEB

2009年11月号〜2010年3月号
平成の経営道

 事業承継問題解決には『継ぎたい事業』を作る事






 

 昭和が平成に変わり早20年以上が経過しました。
  その間にバブル景気の崩壊、IT革命、21世紀の到来、デフレ、度重なる不況、昨年の世界経済危機、出口の見えない地方経済。
  ありとあらゆる危機を経験し、さながら生き残りレースの様です。
  平成を頑張る2市8町の小規模事業経営者に共通する問題をピックアップして、この紙面上で解説します。『事業継承』について
  事業を受け継ぐ後継者が居ないのが大きな問題とされていますが、多くは「継いで貰えない」のです。
  継ぎ手にとって事業を継承する魅力に乏しいのです。「親の苦労する姿を見るとそのまま継げない…」
  昭和の頃にはそんなに悪い商売じゃなかった筈でも、時代が変わったんですね。
  本来、事業は儲かるものです。そして経営はやり甲斐のある事です。様々な勉強や努力が伴いますが、成功した経営者には大きな大きな利益が与えられます。
  戦後に立ち上がり日本経済を築いた創業者達が見た夢や希望を今一度抱き、不屈の精神と努力を惜しまず、平成の時代に合わせて、もう一度「良い事業」構築にチャレンジしましょう。
  次号からは「良い事業構築のノウハウ」を紹介させて戴きます。

●2009年11月号掲載


 価値の解るお客様を育てる事
  お客様の欲する価値を作る事 







 

 続々出てくるジーパンの価格破壊。300円弁当の台頭。これでもか?と言う程、世の中は安売りに走ってます。
  でも本当にそれで良いのでしょうか?
  疑心暗鬼。消費低迷。迷走する経済の中で、小規模事業が取るべき方向性とは何かを考えましょう。『安売り』の構造
  ジーパンが690円で売られています。今まではジーパンが1本売れると、末端店舗では店員さんの数時間分の給与が賄われていました。
  が、690円ジーパンが1本売れても1時間の時給にもなりません。さらに自社はおろか下請け・仕入れ先まで低利益を強制します。そこに働く人の多くは、経営陣の一部を除いて低所得になります。安売りは結果的に多くの労働者の低所得化を招き消費低迷を促します。手の込んだ『価値』を売る
  安く売る事にかけては大手には叶いません。小規模事業が安売り競争に参入すれば悲惨な結果が待っているだけです。
  しかし「安い」だけが購入理由なのでしょうか?
  小規模事業は大手に出来ない「価値」が作れます。
  ジーパンの生地・製造方法にこだわる本物志向の人に、良いジーパンをセレクトした店を提供できます。
  新鮮食材のレトルトじゃない料理を提供するレストランを運営できます。
  安くはないですが質の高い、安心で安全な専門職人の手による「温もりある品」を提供できるのです。
  小さい事業だからこそお客様の要求に応えられます。大手はそのスピード感や小回りが効きません。
  そう言う手の込んだ価値ある商品・サービスを提供し、価値の解るお客様を一人でも多く育てるのです。
  「価値を立て直す」事に挑みましょう。手をかけるから利益を戴けるのです。

●2009年12月号掲載


 新しい時代の新しいお客様に事業の内容が知られていない 






 

 多く事業者に言えるのが「技は高いのに、技だけにこだわりすぎている」ということです。
  売れていない食堂でも多くは良い味を持っています。専門技術業も高い技術を維持しています。なのに何故売上が減るのでしょうか?経営者と顧客の『頭の中』
  経営者は味にどれほど自信があっても、メニューにラーメンとだけ書きます。
  それを見たお客さんは、「なんだ、普通か」と無言でガッカリします。
  経営者は自分の店のラーメンが旨い事は大前提と思っていても、思っているだけではお客様に届きません。『○○風味の○○が旨い特製ラーメン』と言う紹介であれば納得します。「そんな事を一から説明するなんて面倒くさいよ」
  多くの経営者がそんな事を平気で言います。
  商売を始める時は、強い覚悟があったのに…。『安心』から『麻痺』へ
  事業をスタートする時は誰もが慎重です。
  それが一度でも事業が安全路線に乗ると、当初の不安を忘れがちです。
  しかしお店の認知は年々必ず減っていくのです。
  人口減少・消費減少。自然に売上が上がる要素はありません。それなのに、危機に麻痺して、気づいた時は後戻りできない状態に陥ってたりします。実は今が『チャンス?』
  昭和は圧倒的な需要過多の時代で、お客様を増やす必要はありませんでした。
  平成の今はバブル破綻から立ち直れず、しかも供給過多のデフレに入っており、何もしなければ売れない最悪の経済環境です。
  しかしガッカリするのは安直。多くの経営者の気持ちが落ち込んでいる今こそ、真のビジネスチャンスなのです。今をスタートラインに再度創業する。そんな気持ちで地域経済を押し上げていきましょう。

●2010年1月号掲載


 時代は明らかに変化している事業も解りやすい変化を…。  






 

 昭和の時代の常識や事業のノウハウが通用しないことを身をもって感じるようになって来ました。
  本当に変わらなければいけない。安穏とした毎日じゃいられない。と、多くの経営者が感じています。
  さて、時代はどのように変化し、個人経営にはどういう未来が待っているのでしょうか?

■量と安さの大手経営、技と価値の個人経営
  人間誰にも欲があります。沢山のお金を貯めたいから、安いものを探します。でも、何故沢山のお金を貯めたいのでしょう?それは他人よりも良い服を着たいから、良い腕時計が欲しいから、自分が感じる価値を満足させてくれるモノに消費したいからです。
  安いモノには余り価値がありません。だからどうでも良い。安ければ良い。
  なので、この類の商品は価格競争になります。価格競争は大資本には叶いません。薄利多売の商売は大手に任せてしまう事です。
  小さな事業でも安売りは出来ますが、それは単に利益を損ねているだけです。
  大手安売り企業は安く売っても利益はしっかり確保しています。
  小さな事業は、よりコダワって、お客様の羨望の眼差しが寄せられるような商品を作りましょう。
  それは手がかかる事です。面倒くさい事です。ですが、その分、利益を付けられます。付加価値と言います。
  昔は1日百個売らなければ生活できない商売も、手をかけて、1日1個で同じ利益を戴ける事が可能です。
  やり方です。人と同じ事をしない。誰もが解りやすい価値を付加する。そう言うオリジナルな努力が事業に価値を付けるのです。

■経営者の目指すモノ
  昭和の時代は計算だけで商売が測れました。しかし、今は「印象」という、数値に表し難い関数が付いています。経営者が読むノウハウ本、出席すべきセミナー、どんな経営手法をチョイスするか?新旧が混在する今は、とても選択が難しい状況です。経営アドバイザーが言うから、○○先生が言うから、と言う昔の物差しは通用しません。
  ハッキリと言える事は、昔のように、商売は単純じゃないと言う事。また、同業仲間に大きな個人差が生まれ、まるで違う業種のように成長していると言う事。
  経営者の責任で自分にあった未来を選びましょう。

●2010年2月号掲載


 新しい業種への変化 あなたの事業は何になる?   






 

 覚えているでしょうか?マクドナルドの日本第1号は、パンダのランラン・カンカン来日と同年でしたね。
  日本にだってファストフードはありました。たこ焼、お好み焼、石焼き芋などの屋台フードです。
  でもマクドナルドが圧倒的に違ったのは、フランチャイズ(FC)という新しい仕組みだったのです。
  どの町の店に行っても、同じ環境、同じ外観の店舗同じメニュー、同じサービス。これは今までの日本の屋台文化には無かったスタイルです。
  あれから40年。今やFCはあたり前になりました。
  コンビニエンスストア、写真店、ディスカウントストア、そして洋服屋さんや靴屋さんもFCが当たり前のようです。
  ファッション分野で言えばFCはブームを強く売り出し、様々な情報をリードしようとしますが、個人店はあくまでお客様の要望に添おうとします。
  同じファッション店でも、片やFCのルールに縛られた、悪く言えば不自由な店であり、その点個人店は全くの自由な店です。
  両者は同じ業種であってもまったく違う業態です。
  そう言う違いをハッキリと出し、お客様に理解して貰い、それぞれの特長を明確にし、しっかりした居場所を作る事がこれからの個人店に必要な課題です。

●2010年3月号掲載
 

小田原青色申告会
Copyright c ODAWARA AOIRO SHINKOKUKAI, All Rights Reserved.