経…経営者
青…青色アドバイザー
経「お客が減って減ってしようがないよ。どうしたら良いんだろうか?」
青「職種は何ですか?」
経「何処にもある靴屋だよ」
青「繁盛した頃から比べるとどの位減ったのですか?」
経「半分のまた半分以下」
青「商店街ですか?」
経「昔はね。今は住宅地って言った方が当たってる」
青「お客様が減ったのは色んな理由からです。原因はひとつじゃないんです」
経「複数あるって事?」
経「まず、景気が下がった事。これだけなら景気が復活すれば戻ります」
経「景気だけじゃ無いの?」
青「宣伝していますか?」
経「宣伝?そんなもんしてないよ。だって何処にそんな余り金があるんだよ」
青「アナタの靴屋さん、知られていますか?」
経「昔はみんな知ってたよ。この辺でウチを知らない人は潜りだよ」
青「昔はそうでも今は?」
経「今は昔ほどじゃないな」
青「昔ほどどころかもっと知られてないですよ。昔から地味に経営している事業は経営者が思う程知られて居ないんです。お客様が来ない第二の理由です」
経「知られてない事か・・・」
青「お店の外観はキレイですか?」
経「外観?何時も中にいるから外観って意識した事が無かったな」
青「新規客は汚いお店にはまず入りません。古くなりすぎたり壊れたりしていて手入れをしていないと言う印象を与えると余計利用しません。これが第三の理由」
経「良いもの売っていれば良いんじゃないの」
青「良いもの売っているって、お店を利用した事のないお客さんが、何処で知るんですか?」
経「うっ…」
青「若い世代に知られていない。宣伝もしない。店の良さを誰にも訴えない。それで新しい客が来ますか?」
経「うーん」
青「初心ですよ。商売迷ったら初心に返る」
経「初心?」
青「アナタが今の事業を始める時、お客様は既に居たのですか」
経「最初は居なかったよ」
青「お店の外側は?」
経「そりゃ新品だものキレイだったよ。毎日キレイに磨いていたしね」
青「宣伝しませんでした?」
経「したよ。ちんどん屋を雇ってね。金かかったけどお客さんは来たね」
青「その頃の新規客は今は何歳になってますか」
経「創業50年だからね。もういい歳のお爺さんお婆さんだよ」
青「と言う事は50年二世代もの間が空いてるんですね」
経「二世代?」
青「一生懸命売上を上げようと頑張った創業期。でも、景気の良さにあぐらを掻いて油断して二世代が過ぎた」
経「そうか?そんな長いこと宣伝してなかったのか」
青「お得意様は居ても、そのお子様・お孫様には知られていないですね」
経「利用されないんじゃなくて利用されるような準備をしていなかったのか」
青「そうです。確かにこの20年という長い景気の低迷で、お客様の購買量が減りそれが売上に大きく響いています。でもそれは一つの理由であって、それ以外に大きな問題があったんですね。お店が知られていない事。宣伝をしなかったり、新しい世代のお客様が望む商品の研究をしなかった事。そう言う知って貰う努力を怠っていた事。そして、お店の良さ・長所を店の中に仕舞い込んでしまい、外側を無視した事。外観は新規客を入れる為の大きな基準。何時もお店の中にいる経営者には見えない場所。でもお客様は外から来るんです」
経「お客様は外から…ね」
青「今までは経営者目線で経営してたけど、これからはお客様目線が必要です」
経「それもこれも初心に帰れってやつだね」 |