税制改正特集:セルフメディケーション税制
特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)
1.セルフメディケーション税制の概要
今年(平成29年)の1月からセルフメディケーション税制がスタートしました。
健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている個人が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除)を受けることができます。
2.セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件
(1)適用を受けられる納税者
セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に「一定の取組」を行っている個人です。
◇「一定の取組」の主な例
・保険者(健康保険組合、市町村国保等)が実施する健康診査〔人間ドック、各種健(検)診等〕
・予防接種〔定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種〕
・勤務先で実施する定期健康診断〔事業主検診〕
・市町村が健康増進事業として実施するがん検診
※この控除を受ける申告者が「一定の取組」を行っていればよく、家族全員が「一定の取組」を行う必要はありません。なお、申告者以外の家族が「一定の取組」を行っていて、申告者が「一定の取組」を行っていない場合には控除を受けることはできません。
(2)特定一般用医薬品等購入費の範囲
特定一般用医薬品等購入費とは、「スイッチOTC医薬品」の購入費用をいいます。スイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載があります。
なお、一部の対象医薬品には、パッケージに認識マークが掲載されています。
3.控除額の計算方法
実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補てんされる部分を除
く)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)です。
課税所得400万円の方が、対象医薬品を年間20,000円購入した場合
○8,000円が課税所得から控除される
(対象医薬品の購入金額:20,000円-下限額:12,000円=8,000円)
○減税額
・所得税:1,600円の減税効果
(控除額:8,000円×所得税率:20%=1,600円)
・住民税:800円の減税効果
(控除額:8,000円×住民税率:10%=800円)
現行の医療費控除との比較
〇現行の医療費控除
支払った医療費の額-10万円(又は所得金額の5%の少ない方の金額)
〇セルフメディケーション税制
対象医薬品の購入費用ー1万2千円
どちらか一方の選択適用
医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)以下の場合は、セルフメディケーション税制しか選択できません。
医療費が10万円超で、対象医薬品の購入金額が1万2千円以下の場合は、医療費控除しか選択できません。
年間の医療費が10万円超かつ、対象医薬品の購入金額が1万2千円超の場合
例1
年間12万円の医療費の内訳が、対象医薬品2万円、その他の医療費10万円の場合
セルフメディケーション税制:2万円ー1万2千円=控除額8千円
現行の医療費控除:12万円ー10万円=控除額2万円
→現行の医療費控除のほうが有利
例2
年間12万円の医療費の内訳が、対象医薬品6万円、その他の医療費6万円の場合
セルフメディケーション税制:6万円ー1万2千円=控除額4万8千円
現行の医療費控除:12万円ー10万円=控除額2万円
→セルフメディケーション税制のほうが有利
4.セルフメディケーション税制の適用を受けるための手続き
セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、確定申告が必要です。
セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、医薬品購入の明細書を確定申告書の提出の際に添付しなければなりません(確定申告期限から5年間、領収書の提示又は提出を求められることがあります)。
なお、経過措置として平成31年分までは、領収書の添付又は提示による適用もできることとなっています。
「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類(領収書、結果通知書等)の添付又は提示が必要です。
セルフメディケーション税制を適用するに当たっての留意事項
・任意に受診した健康診査(全額自己負担)は、「一定の取組」に含まれないこととされています。ただし、インフルエンザの予防接種は全額自己負担であっても、「一定の取組」とされます。
・市町村が自治体の予算で住民サービスとして実施する健康診断は、「一定の取組」に含まれません。
詳しい情報は、税務署にお問い合わせください
小田原税務署(自動音声によりご案内)
TEL 0465-35-4511